消費税、納付する金額はどう計算する?
札幌市東区の税理士が執筆するお役立ちブログ。
今回のテーマは、「消費税の原則課税」です。
消費税は、最終的に商品やサービスを消費した者(最終消費者)が負担して、事業者が国へ納付するというながれを消費税の基礎知識【1】で解説しました。
売上で預かった消費税から自分が仕入れや経費の支払いで負担した消費税を差し引いて、その残額を国へ納付する。
この方法が基本的であり、消費税の原理原則にかなっていると考えられます。
今回は、消費税の計算方法のひとつである「原則課税」について、概要を一緒に見ていきましょう。
消費税の基礎知識シリーズの過去記事を読んでからのほうが理解しやすいと思いますので、まだ読んでいない方は、ぜひ今回の解説を読む前にご覧ください。
消費税の原則的な計算方法
消費税は、負担する人と納付する人が違うということを1回目の「消費税の基本的な仕組み」で説明したんだけど覚えているかな?
もちろんだよ。ぼくが買い物をして払った消費税は、お店や卸売会社などが納付してくれているんだよね。
取引に関わった事業者が、それぞれ売上で預かった消費税から自分が仕入れとかで支払った消費税を差し引いて残りを国に納付するっていう仕組みだったよね。
ちゃんと覚えてる。すごいね。
吾郎くんが言ったように、お店や会社は、いくら消費税を納付すればいいか自分で計算する必要があるんだよ。
ところで、この計算方法は1つじゃないって知ってるかい?
えっ?さっき僕が言った計算方法の他にもあるの?
そうなんだ。吾郎くんが言っていたのは消費税の原則的な計算方法で、原則課税(一般課税)と呼ばれているよ。
個人的には、原則課税が消費税の原理原則にかなっていて理想だと思うんだ。
だた、消費税の導入当初は小規模な事業者に事務の負担がかかるのを考慮して、原則課税とは別に簡易的な計算方法が設けられたんだ。
これは、「簡易課税」というよ。
「簡易課税」については回をあらためて説明するね。
原則課税(一般課税)
今回は、原則課税(一般課税)のほうをみていこうね。
原則課税には次の3つの計算方法があるよ。
既に頭が混乱してきたよ。
どうしよう。
心配しないで大丈夫だよ。
「課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合」という条件を満たせば、計算が一番簡単な「全額控除」という方法で計算することになるから。
「課税期間」「課税売上」「課税売上割合」ってなんだ?
用語が難しいよ。ますます不安になってきた。
ごめんごめん。確かに難しいね。
まあ、用語の意味については知っておくにこしたことはないんだけど、概要をおさえることが大事だよ。
不動産関係や医療関係を除くほとんどの業種は、「売上高=課税売上」と考えてOKだよ。
そして、個人事業の場合は、「課税期間=暦年(1月~12月)」なんだ。
なので、すごく簡単に表現すると、「1月~12月の売上が5億円以下なら全額控除の計算を使う」ということになるよ。
個人事業で売上が5億円もあるところって…
あんまりそんな人はいなそうだよね。
そうだね。だから、個人事業の場合は不動産関係と医療関係を除けば、ほぼ1の「全額控除」に当てはまることになるんだ。
そして、「全額控除」を使えない場合に2か3の方法を選択するというながれだよ。
「全額控除」は、「お客さんから預かった消費税-自分が仕入や経費の支払いで負担した消費税=国に納付する金額」というシンプルな方法。
下の図は、取引が売上と仕入れ1つずつというケースで説明しているよ。
実際には取引が2つなんてことはないけれど、考え方として確認しおいてほしい。
吾郎くんがボクに864円でハチミツを売って、消費税を64円預かった。
そのハチミツは卸売業者から540円で仕入れていて、吾郎くんは消費税を40円支払っている。
64円から40円を差し引いて、残額の24円を国に納付するということになるよ。
この40円を差し引くことを「仕入税額控除」というんだ。
「全額控除」の「控除」は「仕入税額控除」の「控除」のことだよ。
(図は、クリック又はタップで拡大されます。)
2と3については、それぞれを説明すると長くなってしまうので、今回は説明を省かせてもらうね。
「全額控除」だと会計ソフトを使ってなんとか自分でも処理できそうな気がしてきたけど、他の2つは難しいの?
そうだね。「個別対応方式」と「一括比例配分方式」も会計ソフトの設定をきちんとすれば自力でできないことはないと思う。
ただ、いろいろ判断しなければならないことが出てくるので、自分で完璧に処理するというのはなかなか難しいかな。
いずれにしても、消費税の納税義務者になることがきっかけで税理士に申告をお願いするという事業者も多いね。
もちろん料金がかかってくるけど、間違いなく処理してもらえるので安心だからね。
それって営業でしょうか 🤔
するどいツッコミ 😅
説明がもれてたけど、仕入税額控除をするには、一定の事項を記載した帳簿と請求書等の保存が必要だよ。
これは重要なので、覚えておいてね。
札幌市東区の税理士、木津憲亮(きつけんすけ)です。
1976年1月11日生まれ、奥尻島出身。
私は、個人事業主や小さな会社を専門に応援する税理士です。
このブログでは、個人事業主の方や小さな会社の経営者様が間違った知識で失敗したり、知らずに損をしたりすることのないようにという願いをこめて情報を発信しています。
あなたの夢の実現に、少しでもお役に立てれば幸いです。
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