一部サービスの新規受付を停止しております。詳しくはこちらをご覧ください。

消費税

消費税の原則課税

消費税、納付する金額はどう計算する?

札幌市東区の税理士が執筆するお役立ちブログ。
今回のテーマは、「消費税の原則課税」です。

消費税は、最終的に商品やサービスを消費した者(最終消費者)が負担して、事業者が国へ納付するというながれを消費税の基礎知識【1】で解説しました。

売上で預かった消費税から自分が仕入れや経費の支払いで負担した消費税を差し引いて、その残額を国へ納付する。
この方法が基本的であり、消費税の原理原則にかなっていると考えられます。

今回は、消費税の計算方法のひとつである「原則課税」について、概要を一緒に見ていきましょう。

https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
のりあき

消費税の基礎知識シリーズの過去記事を読んでからのほうが理解しやすいと思いますので、まだ読んでいない方は、ぜひ今回の解説を読む前にご覧ください。

消費税の原則的な計算方法

https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
のりあき

消費税は、負担する人と納付する人が違うということを1回目の「消費税の基本的な仕組み」で説明したんだけど覚えているかな?


https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-default.png
吾郎

もちろんだよ。ぼくが買い物をして払った消費税は、お店や卸売会社などが納付してくれているんだよね。
取引に関わった事業者が、それぞれ売上で預かった消費税から自分が仕入れとかで支払った消費税を差し引いて残りを国に納付するっていう仕組みだったよね。


https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
のりあき

ちゃんと覚えてる。すごいね。
吾郎くんが言ったように、お店や会社は、いくら消費税を納付すればいいか自分で計算する必要があるんだよ。
ところで、この計算方法は1つじゃないって知ってるかい?


https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-default.png
吾郎

えっ?さっき僕が言った計算方法の他にもあるの?


https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
のりあき

そうなんだ。吾郎くんが言っていたのは消費税の原則的な計算方法で、原則課税(一般課税)と呼ばれているよ。
個人的には、原則課税が消費税の原理原則にかなっていて理想だと思うんだ。

だた、消費税の導入当初は小規模な事業者に事務の負担がかかるのを考慮して、原則課税とは別に簡易的な計算方法が設けられたんだ。
これは、「簡易課税」というよ。

「簡易課税」については回をあらためて説明するね。

原則課税(一般課税)

https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
のりあき

今回は、原則課税(一般課税)のほうをみていこうね。
原則課税には次の3つの計算方法があるよ。

  • 全額控除
  • 個別対応方式
  • 一括比例配分方式

  • https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-mesen.png
    吾郎

    既に頭が混乱してきたよ。
    どうしよう。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-smile.png
    のりあき

    心配しないで大丈夫だよ。
    「課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合」という条件を満たせば、計算が一番簡単な「全額控除」という方法で計算することになるから。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-mesen.png
    吾郎

    「課税期間」「課税売上」「課税売上割合」ってなんだ?
    用語が難しいよ。ますます不安になってきた。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-smile.png
    のりあき

    ごめんごめん。確かに難しいね。
    まあ、用語の意味については知っておくにこしたことはないんだけど、概要をおさえることが大事だよ。

    不動産関係や医療関係を除くほとんどの業種は、「売上高=課税売上」と考えてOKだよ。
    そして、個人事業の場合は、「課税期間=暦年(1月~12月)」なんだ。

    なので、すごく簡単に表現すると、「1月~12月の売上が5億円以下なら全額控除の計算を使う」ということになるよ。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-default.png
    吾郎

    個人事業で売上が5億円もあるところって…
    あんまりそんな人はいなそうだよね。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
    のりあき

    そうだね。だから、個人事業の場合は不動産関係と医療関係を除けば、ほぼ1の「全額控除」に当てはまることになるんだ。
    そして、「全額控除」を使えない場合に23の方法を選択するというながれだよ。
    「全額控除」は、「お客さんから預かった消費税-自分が仕入や経費の支払いで負担した消費税=国に納付する金額」というシンプルな方法。
    下の図は、取引が売上と仕入れ1つずつというケースで説明しているよ。
    実際には取引が2つなんてことはないけれど、考え方として確認しおいてほしい。

    吾郎くんがボクに864円でハチミツを売って、消費税を64円預かった。
    そのハチミツは卸売業者から540円で仕入れていて、吾郎くんは消費税を40円支払っている。
    64円から40円を差し引いて、残額の24円を国に納付するということになるよ。
    この40円を差し引くことを「仕入税額控除」というんだ。
    「全額控除」の「控除」は「仕入税額控除」の「控除」のことだよ。
    (図は、クリック又はタップで拡大されます。)
    消費税の原則課税の図解
    23については、それぞれを説明すると長くなってしまうので、今回は説明を省かせてもらうね。


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/goro-default.png
    吾郎

    「全額控除」だと会計ソフトを使ってなんとか自分でも処理できそうな気がしてきたけど、他の2つは難しいの?


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-hutu.png
    のりあき

    そうだね。「個別対応方式」と「一括比例配分方式」も会計ソフトの設定をきちんとすれば自力でできないことはないと思う。
    ただ、いろいろ判断しなければならないことが出てくるので、自分で完璧に処理するというのはなかなか難しいかな。

    いずれにしても、消費税の納税義務者になることがきっかけで税理士に申告をお願いするという事業者も多いね。
    もちろん料金がかかってくるけど、間違いなく処理してもらえるので安心だからね。

    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/07/goro-muka.png
    吾郎

    それって営業でしょうか 🤔


    https://ken-tax.net/wp-content/uploads/2021/03/megane-smile.png
    のりあき

    するどいツッコミ 😅
    説明がもれてたけど、仕入税額控除をするには、一定の事項を記載した帳簿と請求書等の保存が必要だよ。
    これは重要なので、覚えておいてね。


     

    関連記事