税理士になる方法 前編

税理士になるには、税理士試験で5科目合格する以外にいくつかの方法があります。
今回は、税理士になるための方法について、札幌市東区で税理士(所属税理士)をしている筆者が受験生時代の経験を交えて、解説します。

税理士になる方法は大きく分けて3つ

税理士になるには、大きく分けで次の3つの方法があります。

  • 税理士試験で5科目合格する
  • 税理士試験で数科目合格+数科目の免除を受ける
  • 弁護士か公認会計士になる
  •  

    最も一般的なのが、1の税理士試験で5科目合格する方法です。
    次に、2の税理士試験で数科目合格に加えて、一定の方法で数科目の免除を受ける方法です。

    3の税理士になるために、他資格を取得するというのはあまり現実的ではありませんね。
    弁護士は税理士になるよりも相当難しいでしょうし、公認会計士も難しいと思います。

    2010年頃は、公認会計士の人数を増やすという政策のもとに合格者が多かったこともあり、「公認会計士経由で税理士になったほうがいいのでは?」という意見も多くみられました。

    たしかに、税理士と公認会計士は、会計という領域で隣接する部分はあります。
    しかし、主とする業務の内容は異なります。
    端的にいえば、税理士は「税務」、公認会計士は「監査」です。

    最初から税理士の仕事をしたいと思っているのであれば、税理士試験を受けたほうがいいです。

    ということで、このコラムでは、

  • 税理士試験で5科目合格する
  • 税理士試験で数科目合格+数科目の免除を受ける
  • について、複数回に分けて解説します。

    税理士試験で5科目合格する

    今回は、税理士試験で5科目合格して税理士になる方法について解説します。

    税理士試験の科目

    税理士になるためには、会計科目の2科目と税法科目の3科目に合格する必要があります。

    • 会計科目 →「簿記論」「財務諸表論」
    • 税法科目 →「法人税法」「所得税法」「消費税法」「相続税法」他

    会計科目は、「簿記論」と「財務諸表論」の両方が必須です。
    税法科目は、「法人税法」か「所得税法」のどちらかは必ず選択しなければなりません。
    残りの2科目については、自分で選ぶことができます。
    ただし、「消費税法」と「酒税法」はどちらか一方の選択に限ります。
    「住民税」と「事業税」についても同様です。

    1科目ずつ受験することができ、その科目に合格すれば、合格に有効期限はありません。
    一定の年数以内に5科目合格しなければ、科目合格が無効になるということがないのです。

    そして、どの科目から受けるのかということは決まっていません。
    好きな順番で受験できます。

    税理士試験の合格点

    税理士試験の合格基準点は、各科目とも満点の60パ-セントと公表されています。
    ただし、模範解答や配点は公開されていないため、実際は上位10%前後の人が合格するように調整されているものと思われます。(合格率は科目によってバラつきがあり、会計科目の合格率は税法科目よりも高い傾向にあります。)

    いわゆる相対評価の試験といえるでしょう。

    そのため、例えば今回の試験は出来が良かったと思っても、自分以外の受験生がそれ以上の点数を取っていれば合格できないのです。
    私も実体験としてそう感じましたし、税理士試験受験経験者の多くが異口同音に語っています。

    社会人でも受験しやすいのか?

    税理士試験は1科目ずつ受験でき、有効期限がないという特徴から、社会人でも受験しやすいといわれています。
    しかし、受験しやすいからといって合格しやすいわけではありません。

    1科目ずつ受験できるということには、プラスの面とマイナスの面があります。
    プラスの面は、1科目にしぼってじっくりと勉強できるということです。
    マイナスの面は、1科目にしぼって勉強する人が多いと、合格レベルが上がる(合格しにくくなる)ということです。

    上述のように、税理士試験は相対的評価によって合格者が調整されているものと思われます。
    受験者のレベルが高くなれば、上位10%前後の中に入るのが難しくなるのです。

    受験しやすい=合格しやすい と考えて足を踏み入れると痛い目にあいます。

    長期化しやすい

    税理士試験は、長期化しやすいという特徴があります。
    とある調査によると、5科目合格までに要する年数の平均は10年といわれています。

    他方で、受験専門学校のパンフレットには、2年や3年で合格した方の体験談が載っています。
    このような人がいるのに、平均10年というのは長すぎると思いますか?

    専門学校のパンフレットは、あくまでも宣伝ですから、良い事例を載せているのです。

    もちろん、仕事をせず受験に専念し、かつ、頭脳明晰で暗記力もずば抜けてる場合は2~3年での合格が可能かもしれません。
    しかし、かなりのレアケースだと認識したほうがよさそうです。

    1科目ずつ受験して合格を積み重ねるとしても、5年かかります。
    ましてや、受けた年に必ず合格するとは限りません。
    仮に、1科目の合格に2年を費やせば、5科目で10年かかります。

    そう考えると、平均10年というのもうなずけるのではないでしょうか。

    受験の計画を立てよう

    上記のように、税理士試験は長期化しやすい傾向にあります。
    そのため、税理士試験を受けようとする場合は、計画を立てることが重要になります。

    「若いうちに受験に専念して3科目をとり、残りは就職してから」
    「最初に会計科目をとり、その勢いにのって税法科目もがんばる」

    など、まずは漠然としたものでもいいので、計画を立ててみましょう。

    特に仕事をしている方は、年齢を重ねるにつれて仕事上の責任が増し、勉強時間に充てる時間が少なくなってしまうということが考えられます。

    また、結婚して子どもができるなど環境の変化もあり得ます。
    そのため、税理士試験突破に向けては、最初に立てた計画を毎年見直す必要があります。

    近年は税理士試験の受験者数が減少の一途をたどっており、筆者としては寂しい限りです。
    税理士試験の受験を気軽にオススメすることはできませんが、苦労した分だけ良いことがあります。
    ぜひ挑戦していただければうれしいです。

    2税理士試験で数科目合格+数科目の免除を受ける」については、後編で解説します。